子供のサッカー教室を参観していた時。
いつもは子供らみんなでワイワイ
パスとか、シュートとか練習しているのだが何かいつもと違う。。
その日はコーチがペナルティエリア外で何か子供たちとやっている。
下のペナルティエリア外で何か教えている。
(下のピンクのあたり)
聞いてみると『ペナルティエリア外で必要な練習』
をしている様子。
子供のサッカー教室。ペナルティエリア外でいかに相手にファールをするか(やむを得ない場合)を練習。
— しずろく🇦🇷南米 (@Shizuroku1) January 24, 2023
このあたりのmalicia(ずるがしこさ)はブラジルいるときも感じたけど、ここアルゼンチンも同じでした。
日本のサッカー教室ではたぶんない。
やっていたのはファールの練習だった。
よく見てみるとそれは『意図的なファール』の練習でした。
二人一組になって、エリア外ギリギリのところで
相手のビブスを引っ張ったり、強引に体を入れたり。
サッカーに詳しくない方へ補足:
サッカーやフットサルではペナルティエリア内でファールを取られると
ペナルティキック(PK)が与えられます。
PKは高確率でゴールに直結します。
はは~ん。
いい練習じゃん!
と思っていたら、妻は「ええ~ファールの練習」? と怪訝な顔。
もちろんこの『ペナルティエリア外』のファールというのはやむを得ないときにするものです。
そのまま相手オフェンスにエリア内に持ち込まれてシュートを決められるより、ファールで止めたほうがましだからです。
幼少期から身に着ける『マリーシア』
そういえば、昔ブラジルに住んでいた時,
子供のサッカー教室で同じ光景を見た。
小学生くらいの子でも、しっかりユニフォーム引っ張ったり、
審判に見えないところで相手を倒したりしている。
これはラテンアメリカでは
“Malicia” (マリーシア)と言います。
スペイン語でもポルトガル語でもMalicia。
イタリア語ではMalizia。
「Malicia」と言えば、南米サッカーでは切っても切り離せない
ずる賢さ
狡猾さ
駆け引き
の事。辞書で調べると「悪意」と出てきますが、意味合いとしては
生きるためにやむを得ない処世術
みたいな感じ。
このずる賢いプレーを南米では、幼少時から自然に身に着けています
もちろん、コーチも子供たちに
このファールを『緊急時にやむを得ないもの』と教えている。
結果のためには手段は選ばないたくましさ
このマリーシア、意図的なファール以外にも他にも。
勝っているときの時間稼ぎにプレー時間をそれとなく遅らせたり。
ネイマールのシミュレーションとか有名ですよね笑
人によってはこれを「転んでばかり!」「フェアプレー精神に欠ける!」
という人もいますが、俺は率直に「たくましいなぁ」と思う。
試合は『夢をつかむ』一大勝負。
ブラジルやアルゼンチン等、社会格差の大きい
南米各国ではサッカーは、『夢』をつかむ大きな手段。
ネイマールはFavela(スラム街)の出身。
メッシもスラム出身ではないものの、幼少期にホルモンの重病を抱え、全く順風満帆ではないキャリアの始めでした。
(家族も裕福ではなく、その治療費を捻出できなかった。->のちにバルサが負担)
そんな彼らにとって『1試合の勝利』は人生を変える生きるか死ぬかの戦い。
ビッグクラブに入団できれば自分も家族の人生も一変。
決して大げさではないです。
だから、「何をしてでもこの試合に勝つ」という気概があるのです。
少年サッカーでは『生きるか死ぬか』の戦いはないですが(笑)、
本番の試合では相手に勝つ必要があります。
だからマリーシアを知っておくと知らないのでは
勝ち負けに差が出る。
感覚的に幼少期から身に着けています。
↓2018年南アフリカW杯の
ウルグアイ代表のスアレス。
これはやりすぎ笑 と思うけど。
それくらい勝ちにこだわっているともいえる。
スアレスがハンドで決勝点を阻止し、PK戦で勝利した日から今日で12年。ウルグアイとガーナはこの日から因縁の相手に。W杯伝説のひとつ。最近のことのように思えるけどもう12年か…ちなみにこの戦いの結果ウルグアイはベスト4に進出。
— 酒井琢磨 スポーツプランナー (@takuma_sports14) July 2, 2022
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中南米では日常生活にもたくさんのマリーシア
このマリーシア、日常にもあふれています。
レストランの請求時、
何故かメニューが抜けていて本来より金額が安い時に、こっそりそのまま言わずに払って帰ったり、
『向こうが間違えたんだからこっちは悪くない』というスタイル。
まあこれは日本人でも同じか。
私は
お会計間違ってるよ!
とか言いそうです。(偽善者気取りました)
ポルトガル語では
Dar um jeito(なんとかやってのける) とか、
Quebrar um galho (木の枝を折って対処する)
とかいうけどスペイン語でも言い回しあるのかな。
どなたかスペイン語に詳しい方、このあたりのニュアンスご存じであれば教えてください。
とにかく、このあたりの『ずる賢さ』『たくましさ』は
ここアルゼンチンでも日常に溢れています。
何が言いたいか
日本は一般的に、スポーツや生き方において
「クリーン」「フェアプレー」を称賛する社会と思います。
これは本当に誇りに思います。
そんな日本人を好きでいてくれる外国の方がたくさんいます。
それでも尚、日本の間反対南米のサッカーには
マリーシアが根本に染みついているのです。
どちらが良い・悪いとはない。
でも、サッカーに関しては日本も学ぶところもあるのかなぁと個人的には思う。
仕事や、生き方は国を問わずフェアプレーのほうがいいです。
結果、『多様性』で片づける俺。
結局は多様性。
結論。
日本ももっとずる賢く生きていいと思う。
一方、アルゼンチンももっとフェア精神を身に着けてもよいと思う。
本質的に大事なのは『多様性』。
同じ習慣・同じ文化・同じ言語の中にいると自分の良さや違いが判らない。
真似できることは徹底的に取り入れ、違うものは何故違うのかを考える。
High Contextの文化にいると居心地はよいが、発見・発明・工夫は生まれにくい。
これ、海外で生活・仕事をしていると本当に実感します。
同質集団の、阿吽の呼吸って本当に楽だけどね。
最近なんでも『多様性』で
片づけています。汗
わが子にはいっぱいずる賢さ(笑)を
アルゼンチンで身に着けてもらって、長い人生たくましく成長してもらいたいと思うのでした。
以上!
■妻子と駐在中のJTCリーマン。
■発信:現地生活・ビジネス・雑記
■本業:メーカー企画職
■勉強中:ブログ・SEO・Webマーケ
■保有:DELE B1 , TOEIC 910点
ゆる~くブログ続けてます。