【現地生活】アルゼンチンのブルーレート(Dólar Blue) とは

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アルゼンチンのブルーレート
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—- 2023年4月に加筆・編集—–

しずろく

どうも~
しずろくです。

今日はアルゼンチンのブルーレート (Dólar Blueについて書きます。

これは日本の人や他国の人になかなか理解してもらえないですが、
アルゼンチンで暮らす人にとっては生活から切り離せない重要なトピック

早速ですが、普通どの国でも 1ドル=140円

みたいな単一の為替レートがありますよね。


一方、ここアルゼンチンでは、国の通貨に対する信用が全くないため、(過去数度のデフォルトを経験)、


銀行レート(Dolar oficial) に代わる、

市場レート(Dolar Blue) が存在します。

とはいってもこの市場レート、暗い~湿った裏路地で怪しく交換する闇レートではありません。

しずろく

そういう交換業者もいるけど・・


これは、政府が無視できないほどに市場の商品価格に影響をしている非公式レートです。

今回はアルゼンチンに来る方のためにブルーレートについて残します。

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そもそも BLUE RATEとは何か

そもそもブルーレートとは何なのか?

先述しましたが、ブルーレート (Dólar Blue)

銀行のオフィシャルレート(Dolar Oficial)に代わる非公式の市場レートです。

一般的な国であれば

しずろく

そんな怪しい違法レート誰も買わない!!

ということになりますが,

ここアルゼンチンではちょっと違います。

後述しますが、、歴史的な失策、経済危機対外債務により

アルゼンチンの国債および通貨は国際的信用が地に落ちています。

  • 世界最大手の格付け機関S&Pは、アルゼンチンペソの格付けを
    2019年に SD(選択的デフォルト) にしています。
  • 長期国債も以前は十分悪いCCC(トリプルシー!!)だったのが
    今は RD (部分的デフォルト)に格下げとなっています。

この SD や RDがどれだけまずいかというとこんな感じ。
世界の国債格付けの中ではこのくらいの順位です。

アルゼンチンの国債格付けは世界最低レベル。いろはに投資さんから引用。
アルゼンチンの国債格付け
しずろく

ちなみに”安定的”というのは
CCC+ (最悪レベル)が安定的という意味。

格付けとは?格付け会社や国債の格付けを紹介!

|「いろはに投資」さんからの引用 https://www.bridge-salon.jp/toushi/rating/#back

通貨のデフォルトって何??

という方はわかりやすそうなサイトがありました。
よろしければ。(例はロシアルーブルのデフォルトについて)

引用:池上さんに聞いてみた

こういった背景もあり、アルゼンチンではこの
ブルーレート(非公式市場レート)のほうが市井から信頼があり、

日用品の商品価値の変動もこのブルーレートの上限に応じて決まるのが一般的。

しずろく

国民が抱く、通貨・アルゼンチン銀行への信頼は全くありません。

なぜ “BLUE”(青い)レートというのか

そもそもこの BLUE は何に由来するのでしょうか?

「青ざめた」「悪い」と意味から由来している?


いずれも正解と言われています。
ただし唯一「Black rate」という言葉を使うことを避けたといわれています。。

しずろく

完全な「黒」=非公式・闇という意味を避けたのかも。

他にも「ブルーチップ」と呼ばれる
アルゼンチン企業の社債や株式による購入オペレーションと関連付ける説や、

偽造紙幣を発見するためにスタンプを押したときに現れる、色ともいわれています。

とにかく、

2011年ごろ登場したこのブルーレート

2023年現在、大手の新聞やニュースサイトで堂々と

Oficial rateの横に並べられ、日々の為替変動が取り上げられています。

大手新聞でも非公式レートはいつも取り上げられている。
大手新聞 ” El Cronista”のトップページ。堂々と Dolar Blueが記載
しずろく

なぜ、人々はこの「非公式ドル換算レート」を使用するのでしょうか?

それには2つの理由があります。

公式なUSDドルへのアクセスが政府から認められていないため。

個人が所有しているペソの銀行口座からドル購入はできません。
(正式には月200ドルまでですが手続き煩雑)

インフレ率が年間 100 %にも達するアルゼンチン。
ドルおよび基軸通貨を買うことが唯一の安全な貯蓄手段。(非公式レートであっても)

要するに、
「自分の口座からのPESO => ARS での交換は許されていない」
「悪いブルーレートでもよいから、非公式市場でペソをドルに変えたい」

こういった背景からこのブルーレートが公式レートよりも支持されています

しずろく

これが悲しい現実。

今日のブルーレート

下はHTML で貼り付けた「今(オンタイムアップデート)」の 各レート。

(激しいレートの変化の度にブログの記事更新するのがいやだったので)

それぞれ Compra は 買値Venta は売値です。建値は USD/ARS です。


Dólar Blue (ブルーレート)

下は同様に

Dólar OFFICIAL (公式レート)

2023年4月26日時点の ブルーレートで説明すると、

1 USD = 490 ARS (アルゼンチンペソ-売値) 。

一方公式レートは

1USD =225ARS です。 非公式レートは217% 公式よりも高いです。

アルゼンチン人は、歴史的に数度のデフォルトを肌身を通して知っています。

例。


ある会社員は200,000 ペソの月次給与を受け取ると、
これをすぐ非公式レートでUSD に変えます。

200,000 ÷ 490= 408 USDを手にします。

これはもちろん、公式レートで替えることができた場合の

910USD(200,000 ÷220 =) に比べると

非常に分が悪い換金率ですが、それでもブルーレートでUSDに交換するわけです。

(上記の通り政府からは公式レートの換金は法律で禁じられているため。
アルゼンチンペソが紙くずになっていくので生きるためにドル転)

しずろく

以下はブルームバーグの記事。

アルゼンチンの経済状況

アルゼンチンの通貨危機ぶっちゃけどうなの?
しずろく

そもそもアルゼンチンって経済状況どうなの?

まずブルーレートの説明には歴史を知る必要があります。

アルゼンチンの経済状況ですがよい点は全く見当たりません。

1810年にスペインから独立してから210年の間に8度(!) のデフォルトに陥っています。 

デフォルト(債務不履行) とは、債券の利払いや償還が約束通りに行われない、いわゆる踏み倒しです。

最近ロシア-ウクライナ戦争でロシアがドル払いの国債利払い支払いを 期限まで行うかどうか、ニュースでよく取り上げられていました。 

個人の金貸しでも踏み倒されればお互いの信頼は崩れます。国同士でも同じです。

そもそもお金とは、それ自体になにか価値があるものではないです。

誰かがその福沢諭吉を描いている紙切れに
「一万円の価値がある!」と信じ、ようやく市場において一万円分の意味を持つわけであって。

お金は人々の信頼から成り立ってい(皆がそのお金に価値があると信じ)るということです。

しずろく

暗号資産とかもそうですよね・・


通貨への信頼がなくなるとそれは紙切れとなり、

お金はそのへんの木の葉やトイレットペーパーと一緒です。(トイレットペーパーのほうが有益??)

——
脱線しましたが、アルゼンチンはとにかく過去数度デフォルトに陥り、
世界からのペソ通貨への信頼がなくなっています。


2001年の債務不履行(5000パーセント越えのインフレ)に続いて、
2018年から現在にかけて通貨危機が発生しておりIMFと借金返済の交渉をしているところです。


じゃあなんでそもそもアルゼンチンだけ特にひどいデフォルトに陥ったの?

ごめんなさい。


経済のプロなのでうまく説明できません。ただ、駐在員サラリーマンしずろく的理解は以下です。


  • 1900年代初頭(世界恐慌前)は経済絶好調(牛・羊・小麦輸出)。
    外貨を多く稼いだ
  • 世界大戦後は工業化を進めたが、ことごとくうまくいかなかった(厳しい輸入規制・再分配・政府の政策)
  • 今に至る。(はしょりすぎ)
  • 結論:政治・政策・地理・歴史的からくる総合的経済のぜい弱さを今日まで引きずる。

ブラジルとの共同通貨構想(過去記事参照)もありますが、
問題山積のアルゼンチンペソがそう簡単に他通貨に移行できるわけはありません。

とにかく今アルゼンチンは2011年以来の通貨危機のさなかにいます。

そこそこ経済規模もあり、人口も多く(4,700万人)、
医療体制、教育体制も整っているのにです。

どこかとドンパチやっているわけでもないです。
(フォークランド紛争とかそりゃあ過去にはありましたが)

IMFへの利子返済の繰り下げなど申し入れていますが、まだ明確な合意には至らず。

この状態のためインフレーションはすさまじく、昨今の日本やアメリカのインフレ率(年4~6%) とは比べ物にならない年率95% (2022年)という笑うしかない記録を残しています。

昨年 500peso/kg だった牛肉が約1,000peso となっているわけです。

昨年10万peso だった家賃が19.5万peso。単純計算。

また、Pesoの価値が対USDで同じで上がっていれば(給与所得) 、

まだ「そっかぁインフレ年率95%かぁ~」といった感じでいられますが、

対USDの価値がみるみる下がる一方。

しずろく

私が住んでいる感覚では約2年で物価が2~3倍。(家賃・商品・子供の学費)

これからアルゼンチンに来る方へ、「絶対に失敗しないアルゼンチンの換金方法」を記事にしています。

良ければどうぞ。

実生活への影響

実体経済がこの BLUE LATE で動いでいるので物価上昇が続く一方。

文字通り毎日の商品の値上げは真っ青(日本のインフレのスピードの10倍以上です)

アルゼンチンの物価に関してはこちらに書きましたのでよろしければ!

しずろく

2022年・2023年物価記録残しています。

政府はどうするの??

もちろん政府は「実態経済」用の通貨と「法定通貨」
2つのペソ通貨が市場に存在することを認めるわけがありません。

例えば2022年11月からは ” Precios Justos” と呼ばれる日用品の公定価格を導入。

しずろく

最初は、ここは社会主義国か!
と思いました。

Precio Justoについてはこちらの記事に書いています。

この公式 - 非公式レートの乖離が続けば
ペソの国際的信用もさらに落ち、何より経済が回らなくなります。

それでもブルーレート(対USD)は下落の一途。

「じゃあブルーレートを公式通貨にしたらいいじゃん!」
こんなことを考えましたが・・無理ですね。

お金は前述したように信用から成り立っていますから、
「アルゼンチンの通貨」というものに国際的信頼がない限りは厳しいでしょう。

肝心なのは対外債務の減少通貨の安定と、
インフレの抑制賃金の上昇でしょう。

アルゼンチンは世界的に見ても稀有な通貨危機下の国です。

しずろく

少し経済の暗い面を取り上げました。でも他の記事にも書いていますが、経済はその国の一面に過ぎません。これを差し引いてもこの自然・人が豊かなアルゼンチンが大好きです。

おわりに

しずろく

これからどうなるのでしょうか。

私は日本企業からの出向という立場。この国では外国人です。

この通貨危機・市場の情報をこまめに(切実なので笑) 本国人事に報告し
、給与調整の交渉を行っていたりします。

ただでさえこんな外国人でも困っているのに、

ペソ払いのみで給与を受けて取っている現地社員の苦労は計り知れません。

アルゼンチンは豊富な自然・豊かな食文化・何より素晴らしく温かい人々を持っている本当に素晴らしい国です。

この経済状況が少しでも早く収まることを願います。

それでは~!!

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