
結構すごい時代。
2024-2025年の間で株価の大暴落が2回起きている。
- 2024年8月。(パニック売りでそのあとすぐ回復)
- 2025年4月。 この記事を書いている今。(トランプ関税発端)
トランプが再び関税という”拳”を振り上げた。
「対中関税54%」と打ち出したこのニュースに、市場はざわつき、
株価も為替もピリつき始めてる。
日経平均(2025/4/6)


ダウ平均(2025/4/6)


この54%、本気でアメリカが着きたいゴールなのかな?
トランプ以外誰もわからないです。
さらに中国に追加で50%とか言ってるし。(そうなったら104%の関税。。)
トランプの心のうちはわからないけど、
ひとつわかるのは、一人の人間によって世界の経済、個人の資産形成、はたまた人生までが揺さぶられていること。



迷惑極まりないw


経済のプロじゃないのでこの内容はほかの人に任せるとして、
今回面白いのはトランプの「アンカリング」。
やってることは無茶苦茶だけど、これ、交渉では超重要。
“交渉の初手=アンカー”(碇)。
相手にとっては到底受け入れられない数字を最初に提示することで、こちらの交渉ラインをぐっと有利に引き上げる。
市場や報道が騒ぎ立てるのも織り込み済みで、最終的な“着地点”もきっと想定済みのはず。
トランプは政治に入る前、ビジネスの舞台で”アンカリング”を使ってきた。
実はこのアンカリング、私たちの日常でもこっそり人生に影響を与えている。


アンカリング=マーケティングと心理学の合わせ技





実は知らない間に使われてるアンカリング。
アンカリング(Anchoring)とは、Anchor(船の碇) に由来。
会話や交渉で「一投目に下す碇」。
最初に提示された数字や情報が、その後の判断や意思決定に強く影響する心理的効果。
たとえば—
「定価29,800円の商品が今だけ9,800円!」
と聞くと、お得感を感じる。
でも、その9,800円という値段の“高い or 安い”の感覚。
実は製品の本質的な値段じゃなくて、
最初に見せられた「29,800円」によってある程度決まってしまっている。
本来の29,800円が高いとは分かっているつもりでもなかなかその一回置かれたベンチマークが頭から離れない。
これはマーケティングだけではなく、
給与交渉 ・中古車の価格 ・フリマアプリの出品価格 ・引越し業者の見積もり
など、あらゆる場面に潜んでます。
人間は想像以上に「最初の情報」に引っ張られやすい生き物。



トランプはこのあたりを「よーく」わかってわざとやってる様子。
南米の露店価格交渉でも実は多いアンカリング





南米の日常生活では必須の「価格交渉」。
身近なアルゼンチンの話。
San TelmoとかPalermo の蚤の市を歩いている。
嫁->革のバッグが目に留まる。
嫁:「¿Cuánto cuesta esto?(これいくら?)」
店員:「¡55Mil pesos!(55,000ペソ!)」
この一言が、すべてのスタート。
そこからこちらが「ちょっと高いなぁ」と返すと、
すかさず相手は「じゃあ28,000ペソでどう?」



一気にほぼ半額w
こんなやり取りを面白く横で眺めていると、最終的には25,000ペソくらいで落ち着く。
けど、そもそもそのバッグの市場価格がいくらかなんて、こっちは分からない。
これは「55,000ペソ」という初手が“アンカー”(会話の碇)になっていて、
25,000ペソでも「値切れた感」が出る。
でも、
もしかしたら原価10,000ペソかもしれない。
これ、まさにトランプの関税交渉と同じ構造。
トランプの交渉術とアルゼンチン露天のおっちゃんが同じだった話


トランプは政治家である以前にまず、ビジネスマン。
だからこそ政治の交渉においても“値札のつけ方”を熟知してる。



良し悪しは別として。
彼の交渉スタイル:
- 相手がビビるほど大きな数字を最初に出す(例:54%関税)
- 相手が反応して騒ぐ(中国も日本も)
- 最終的には「譲歩」という形で、当初よりややマイルドな条件に落とし込む
(例:関税10%)
結果、彼は“譲歩した”ように見えて、
実際は「最初に提示した高値」に対しての”見返り”を最大化している。
これ、ブエノスアイレスの市場で毎日行われている価格交渉とまったく同じ(笑)
アンカーを打つ側になるか、飲まされる側になるか


実は、このアンカリングこんな場面でめっちゃ使われています。
- 家探しの際の初回提示家賃
- 人事評価での“前年の評価”
- 恋人との「初デートのプラン金額」
まで、皆の毎日にしれっと入り込んでる。
つまり—— アンカーを打つのは、相手か、自分か。
ちょっと意識を変えて「先手を打つ」ことを心がけるだけで、
人生の選択肢の幅がぐっと変わる。
ちなみにプライベートでアンカリングばっかしているとなんか嫌な奴になりますw



おすすめは、仕事の場で使えるアンカリング


仕事でつかえるアンカリングの仕方
プライベートでアンカリング連発すると生きにくくなります。
打算的っていうか、損得だけの人って嫌ですよね。
ましてや家族・恋人・友達ならなおさら。
でもアンカリングを連発していいシーンがあります。それは「ビジネスシーン」
- 会社の売り上げを増やす
- 今のポジションから昇進する
- 自分の給与を増やす
こんな「成長してなんぼ」のビジネスシーンではアンカリングが重宝します。



アルゼンチンの現地社員もこのアンカリングを「自然に」ラテンの賢さで普段から使っている。
この辺は前の「南米のマリーシア」記事で書きました。ラテンの人々はまぁたくましい。


ビジネスシーンで使えるアンカリング。
「給与あげて!」いきなりは無理。でも言い方変えたらイケる。



昇給させてください!
って言っても「でもな・・」「上のポストがなまだ詰まっててな」
ってなるのがJTCの関の山。でもこれは結構効果がある。
「今、係長の立場ですけど、xx部長と同じ職責を担っていて・・」
「xxさん(部長クラス)が以前やっていた仕事の範囲が、今の私の役割です」


このあたりを評価面談時ではなく、評価面談の半年前から1ジャブ、3か月前に2ジャブ目を打っておくとその上長の頭の中に「確かになぁ」「そろそろ上げてやらな」という気持ちが芽生え始める。
もちろんやるべきことをやったうえでの話。
saiaku その年の昇進に結びつかなくとも、翌年の飛躍へのアンカーを打てる。
転職時の給与交渉



転職時にも有効。
まずは自分の経験・実績から「どんな他の企業の選択肢があるか」おさえておく。
そして自分の同年齢・同業者の年収レンジを見ておく。(Openworkとかでok)
そして重要なのが「内定をゲットした後」に
「これまでの役割と成果を考えると、市場としては〇〇〇万円は出ていまして。。」と、
自分で年収を決めつけずに「〇〇万~〇〇万で検討しています」と素直に・謙虚に伝える。
採用側もそれまで割いた時間とエネルギー、なにより採用を決めた自分への評価は覆したくないもの。(別の心理学用語でサンクコストっていう)
ここでさらに追い打ちであくまでも”謙虚に”辞退の可能性もにじませる。
例:「御社で挑戦したい気持ちは本当に強いのですが、もう少しだけ評価いただけると決断しやすくなります」



このぐらいのニュアンスがベスト。
そうしたらだいたい希望年収で収まります。
あくまでも
「内定が決まってから」
「しっかり同ポストの市場価格を把握」
したうえで一番レンジの高いアンカーを打つのが最適。
この入社する前の「最初の一手」(アンカー)がめっちゃ重要。
給与交渉もしないで転職して、そこから給与アップするのはまぁ時間かかる。
おしまい



話脱線。ビジネス上がりのトランプは内容の良し悪しは別にして、このあたりの「交渉」をよくわかってる。
日本の政治家の皆さんはどの辺までやりあえるのかな。。
アンカリングに振り回されないで常に自分の目で物事の価値を見極めたいと思いました。
おしまい。