久しぶりに上海に出張で行きました。
前回中国に行ったのはコロナ前。アルゼンチン駐在を挟んで5年ぶり、です。
しずろく5年ってあっという間。なのに、上海は完全に別の国になっていました。
結論を先に書きます。上海で現金は必要ありません。
クレジットカードもほとんど使えません。使えるのはAlipayかWeChat PayのQR決済だけ、というのが体感でした。
この記事は、出張で実際に体験した上海の決済事情を、2026年5月時点で更新できる範囲で最新化したまとめです。これから上海・中国に行く方の準備の参考になれば。
- 上海で現金・クレカ・QR決済の使えるシーン
- Alipay/WeChat Payを日本人が使う方法【2026年版】
- 場面別(空港・タクシー・地下鉄・店)の決済対応
- 日本人ビザ免除復活(2024年11月)の最新情報
- 中国でVPNが必須な理由と準備
- よくある質問(FAQ)
※本記事は2024年5月の体験を元に、2026年5月時点で確認できる情報で更新しています。各種ルールは変動するため、出発前に公式情報の最新版を必ず確認してください。
結論:上海で使えるのはAlipayとWeChat PayのQR決済
主要シーンの対応をまとめると、こうなります(2024年5月体験+2026年5月時点の補足)。
| シーン | 現金 | クレカ | QR決済 |
|---|---|---|---|
| タクシー | △ | × | ◎ |
| 地下鉄・バス | ○(切符) | × | ◎ |
| レストラン | △ | △ | ◎ |
| スーパー・コンビニ | △ | × | ◎ |
| 高級ホテル | ○ | ○ | ◎ |
| 観光地・チケット | × | × | ◎ |
| バー・クラブ | ○ | ○ | ◎ |
| 空港(免税店) | ○ | ○ | ◎ |
「△」は店によって対応が分かれる、という意味です。
実際の現場では、現金やカードを出すと「あぁ…」という顔をされ、QRを出すと「了解」と即対応、という空気でした。
5年ぶりに行って一番驚いたのが、クレジットカードも国際チェーン店以外ほとんど使えないこと。
コロナ前は「現金は減ったがクレカは普通に使えた」記憶があるのですが、いまは違います。
中国当局は外国人観光客向けに「現金を断るな」キャンペーンを2024年から展開していますが、現場の店員はQR決済前提で動いているので、現金を出されると面食らうケースがまだ多い印象でした。
日本人でもAlipayとWeChat Payは普通に使える(2026年版)


ここが2024年以降で大きく変わったところ。
かつてAlipayとWeChat Payは中国の銀行口座が必要で、外国人には事実上ハードルが高いものでした。
それが2023年7月から、海外発行のVisa/Mastercard/JCB/American Expressを直接アプリに紐付けて決済できるようになりました。
日本のクレジットカードを持っている人なら、誰でも上海でQR決済が可能、という状況です。
Alipay (支付宝) を日本人が使う手順


App StoreまたはGoogle Playで「Alipay」を検索しインストール。中国に入ってからではApp Storeにアクセスできない可能性があるので必ず出発前に。
日本の電話番号でアカウント作成。本人確認でパスポートのスキャンが求められます。
Visa/Mastercard/JCB/Amexのいずれかを登録。日本発行カードでOK。
店のQRをスキャンするか、自分のQRを店員にスキャンしてもらえば決済完了。
手数料と限度額の注意



これは要注意です。
海外発行カードでの利用には、以下の制限があります(2026年時点)。
- 200元(約4,000円)未満の決済は手数料無料
- 200元以上の決済は3%の手数料がかかる
- 1回の上限は5,000USD相当、1日3,000USD、年間50,000USD
少額決済(タクシー・コンビニ・カフェ)はノーコストですが、高額の食事や買い物では3%取られます。それでも現金両替の手間と為替手数料を考えると十分な選択肢、というのが体感でした。
紐付けがうまくいかない時の対処
私の場合、アルゼンチン発行のクレジットカードを紐付けようとしたら、10回に4回くらいの確率で決済が弾かれる状況でした。
子供のレゴを買おうとしたらクレカ弾かれた・・・


原因は不明ですが、海外発行カードの中でもアジア圏(日本・韓国)以外は安定性が低い印象。
対策として有効だったのは:
- 日本発行クレカと2枚体制にする
- AlipayとWeChat Payの両方を入れて、片方が弾かれたら切り替える
- Alipay内蔵の「Tour Pass」(外貨を一時チャージするミニアプリ)を使う
- 緊急用に少額の元現金(500元ほど)をホテルか空港の両替所で確保
WeChat Pay(微信支付)も同じ手順
WeChat Payも基本は同じ仕組みです。
海外クレカ紐付けは2023年7月から対応。AlipayとWeChat Payはどちらか1つで十分カバーできますが、私は両方入れていて助かった場面が複数回ありました。店によってどちらかしか受け付けないケースもあるので、可能なら両方準備しておくのが安心です。
場面別:現金・クレカ・QR決済の使い分け
空港(浦東/虹橋)
空港のレストラン・免税店・両替所はカード・現金・QRの全部に対応しています。両替所で少額(500〜1000元)を確保しておくと、緊急時の保険になります。空港の地下鉄リニア(磁浮列車)・タクシーは現金もQRも可。
タクシー / Didi(滴滴出行)
流しタクシーは現金もOKですが、運転手はQR決済を強く好みます。お釣りがない、外国人とのトラブルを避けたい、という事情から。
滞在が長いなら、配車アプリのDidi(滴滴出行)がおすすめ。Alipay内のミニアプリからも呼べます。クレカ紐付け済みなら自動決済で楽。
地下鉄・バス
上海地下鉄はAlipayでQRを表示して改札を通過するのが標準。切符券売機もありますが、現金が使えない券売機が増えています。Alipayの「Metro」ミニアプリを起動しておけば、東京のSuica感覚で乗れます。
レストラン
ローカルなレストランほどQR決済必須。高級店や国際ホテル内レストランはクレジットカードも使えますが、QRの方が会計がスムーズ。テーブルにQRコードが置いてあって、自分のスマホでスキャン→注文→決済まで完結する「無人化店舗」も増えています。
スーパー・コンビニ
セルフレジが主流で、現金対応のレジが極端に少ない。「現金で払いたい」と言うとレジに並び直しを促されることもありました。QR一択と思っておくほうが楽。
ホテル
外資系・高級ホテルはクレジットカード対応。チェックイン時のデポジットもカードで。中小ホテル・民泊系はQR決済か、銀聯(UnionPay)カードのみ対応のケースがあります。
日本人の中国ビザは2024年11月から免除復活
2024年5月の私の出張時点では、日本人は中国入国にビザが必要でした。アルゼンチン在住者として、ブエノスアイレスの中国大使館でビザを取得した実体験は後述します。
ただ、その後2024年11月30日から、日本人へのビザ免除措置が復活しました。観光・商用・親族訪問・トランジット目的で30日以内の滞在ならビザ不要です。これからの渡航者は手続きが大幅に楽になりました。
※2026年時点での運用状況は中国側の外交方針で再び変わる可能性があります。在中国日本大使館または外務省の海外安全ホームページで最新情報を必ず確認してください。
参考:ビザ免除以前(2024年5月時点)の取得手順
2020年のコロナ以降、中国は日本人へのビザ免除を停止していました。2023年に他国(シンガポール・ブルネイ等)には再開されたものの、日本は2024年秋まで対象外。背景には原発処理水や台湾政策、半導体規制をめぐる政治的対立がありました。
2024年5月時点、アルゼンチンから中国に行くケースで私が踏んだ手順:
- 中国側の支社に招待状を作成してもらう(現地当局への届け出含む)
- ブエノスアイレスの中国大使館にWebでビザ申請
- 大使館に出頭(招待状・パスポート・DNI・申請完了画面)
- 1週間後に再度出頭、Mercado Pagoでビザ費用23,000ペソ(約23USD)を支払い
- 黄熱病ワクチン接種証明(南米からの渡航者は必須)
申請から取得まで稼働日ベースで10日間かかりました。緊急対応の「Fast Application」もあり、3日程度で取得可能ですが費用は倍。
受付ではMercado Pago(アルゼンチンのQR決済)しか使えない仕様で、Mercado Pagoを持っていないお年寄りが困っていたので、私のアカウントで立て替え払いをしてあげた、というアルゼンチンらしい一幕も。
中国でVPNは必須。出発前に契約しておくこと
中国国内では、海外のアプリ・サービスのほぼ全てがブロックされます。VPNなしだと仕事も生活も成立しません。
- Google系すべて(Gmail/Maps/Drive/Calendar)
- YouTube・Netflix・Amazon Prime
- X(Twitter)・Instagram・Facebook
- LINE
- App Store(中国アカウント以外)
- 日本の主要ニュースサイト
注意点はVPNアプリは中国に入ってからではダウンロードできないこと。中国版のApp Storeにアクセスすると弾かれます。出発前に必ず契約・インストールしておきましょう。
私の出張ではNordVPNを使いました。中国の検閲(グレートファイアウォール)を突破できるVPNは限られますが、NordVPNは比較的安定して接続できました。
中国・南米問わず駐在・出張で使えるVPNの選び方は別記事に詳しくまとめています。


\ 中国出張・旅行に対応するVPN /
上海出張・旅行で持っていくと安心なもの
- パスポートと紙のホテル予約確認書(中国ではプリント主義の場面が残っています)
- 海外対応クレジットカード2枚以上(Visa/Mastercardが安定)
- VPN契約済みスマホ(必ず出発前)
- 中国対応eSIM(現地SIMより手軽。Airalo/Saily等)
- 海外旅行保険(医療事情はまだ不安定)
- 少額の元現金(500〜1000元程度)
SIM周りは中国対応のeSIMが圧倒的に便利。空港でSIM買う列に並ばなくて済むし、現地で即接続できます。


あと地味ですが、海外出張で重宝するのが無印良品のポリエステルトラベル用ウォレット。複数通貨・パスポート・カードをまとめて持ち運べて、現地でも目立たない。私はもう何年もこれです。
久々の上海で感じた変化(コラム)
キャッシュレス以外にも、5年で変わったなと感じた点を残しておきます。
EVが街の景色を変えていた
道を走る車のEV比率が圧倒的に上がっていました。BYD・テスラに加えて、HuaweiやXiaomiといったテック企業のEVも普通に見かける。価格帯も日本円で500万円前後と、現実的な水準。
運転している層も若い世代の富裕層が多い印象で、日本との消費感覚の差を感じました。
国内消費が戻ってきている
今回の出張は中南米(アルゼンチン・メキシコ・コロンビア・ブラジル・チリ・エクアドル・ベネズエラ)の取引先が一堂に会する上海の展示会への参加が目的でした。
商談の体感でも、観光業以外の国内消費は戻ってきている空気を感じます。一方で、新興EVブランドの乱立で価格競争が激化しているなど、過熱の懸念もありそうでした。
入国管理は世界最速クラス
浦東空港の入国審査は、機械の反応速度が信じられないくらい速い。指紋認証も顔認証も日本より圧倒的にスムーズで、これだけは「素直に羨ましい」と思いました。
食事は相変わらず最強
取引先と白酒で乾杯、二日酔いの翌朝にホテルの中華粥ビュッフェ。クラブで朝まで、また二日酔いで朝食…という嵐の数日。仕事の合間に上海のレゴストアで子供にお土産を買って、注射器タワーを見上げて。
慌ただしい出張でしたが、5年間のブランクを一気に取り戻す密度でした。
経由地のイスタンブール空港もおすすめ
余談ですが、ブエノスアイレスから上海へのルートはイスタンブール経由のトルコ航空が定番。トランジットのスターアライアンスラウンジは、私が世界で一番好きなラウンジです。


上海の決済・準備に関するよくある質問(FAQ)
- Q. 上海で日本円はそのまま使えますか?
-
使えません。空港・ホテル・大型銀行の両替所で人民元に両替できますが、レートは良くないので必要最小限に。基本はAlipay/WeChat PayのQR決済をメインに、緊急用に500〜1000元の現金を持つ程度で十分です。
- Q. 銀聯(UnionPay)カードは中国で使えますか?
-
使えます。特に高級ホテル・空港・百貨店では銀聯カードの方がVisa/Mastercardより通りやすいことも。日本でも楽天銀行などが銀聯カードを発行しているので、長期出張なら作っておく価値はあります。
- Q. AlipayとWeChat Payは両方必要ですか?
-
どちらか1つでもおおむね生活できますが、店によって片方しか受け付けないケースがあります。私は両方入れていて何度か助かりました。可能なら両方の設定を出発前に済ませるのがおすすめです。
- Q. AlipayやWeChat Payが店で拒否されたらどうしますか?
-
その時はクレジットカードか現金で支払うしかありません。海外発行カードでの利用は店側でエラーが出るケースが時々あります。日本発行のクレカ・少額の元現金を保険として常に持ち歩くと安心です。
- Q. 上海のタクシーは現金で払えますか?
-
流しタクシーは現金OKですが、運転手はQR決済を強く好みます。お釣りトラブル回避のためにも、AlipayかWeChat Payでの支払いをおすすめします。長期滞在ならDidi(滴滴出行)アプリが便利です。
- Q. 子連れ・高齢者と行く場合、現金は念のため必要?
-
あった方が安心です。スマホ操作が必要な場面で本人に任せられない場合、現金で対応するシーンが出てきます。1人あたり1000〜2000元を目安に。ただし「現金しか使えない」ことはほぼなく、保険的な位置づけです。
- Q. 日本人ビザ免除は今後も続きますか?
-
2024年11月30日から復活したビザ免除は、2026年5月時点で継続しています。ただし中国の外交方針次第で再び変動する可能性はあります。出発前に外務省の海外安全ホームページか在中国日本大使館の最新情報を必ず確認してください。
- Q. 中国でVPNなしでも何とかなりますか?
-
厳しいです。Google・LINE・Instagram・YouTube・日本のニュースサイトがすべて使えません。仕事の連絡や調べ物に支障が出るので、VPNは必須と考えてください。アプリは必ず出発前にインストールを。
- Q. 中国本土・上海でクレジットカードを使うと為替で損しますか?
-
カードによりますが、海外利用手数料(通常1.6〜2.2%)に加え、Alipay経由で200元超だと3%の手数料が乗ります。両替所の現金両替よりは概ね有利ですが、極端な高額決済では銀聯カードや人民元現金の方が有利な場合もあります。
まとめ
上海はもう、現金で生活する国ではなくなっていました。クレジットカードですら主役を降りていて、AlipayとWeChat PayのQR決済がほぼ全てを担っています。
これから上海に行く方への要点を一覧で。
- AlipayまたはWeChat Payを出発前に設定する(両方推奨)
- 日本発行のVisa/Mastercardを紐付ければ日本人でも使える
- 200元未満は手数料無料、200元以上は3%の手数料
- 緊急用に少額の元現金(500〜1000元)を確保
- VPNは必ず出発前に契約・インストール
- 日本人のビザは2024年11月から30日以内なら免除
5年ぶりに歩いた上海は、東京よりはるかに進んだキャッシュレスとEVの街でした。
台湾情勢など、いつまでこの距離感で行き来できるかは分かりません。行ける時に、行ける形で。準備さえ整えれば、上海・中国は今でも訪れる価値の高い街です。
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