しずろくどうも〜しずろくです。
アルゼンチンに5年住んでDELE B2取った男です。
アルゼンチン行きが決まった人、留学を考えてる人、あるいは単純に「サッカーでよく名前を聞くこの国、そもそも何語話してるん?」って思った人。
ググって出てくる答えはだいたい1行です。
「アルゼンチンの公用語はスペイン語です」
…はい、
それは半分正解で、半分間違いです。



えっ、どういうこと?ってなりますよね。
実際私も、赴任前に1年スペイン語を勉強して自信満々でブエノスアイレスに降り立ったら、初日の初会話で完全にフリーズしました。
教科書の「スペイン語」と、アルゼンチン人の話す「スペイン語」が、正直別の言語レベルで違うんですよ。
この記事では、
- アルゼンチンの公用語の「教科書的な答え」と「現地のリアル」
- スペイン本国のスペイン語と何がどう違うのか(生活でガチで困った3点)
- 英語はどこまで通じる?(スーパーで詰んだ実体験)
- 旅行・駐在前にこれだけは入れとけっていう最低限
を、5年住んで毎日現地人と仕事してきた一人の駐在員目線で、全部書きます。
ググって出てくる辞書的な答えの3歩先まで、連れていきます。
先に結論から。
先に結論:アルゼンチンの公用語は「スペイン語」。でも現地では誰もそう呼ばない





ここが超大事。
結論をまず表で。
| 項目 | 答え |
|---|---|
| 公用語(法的・制度上) | スペイン語(Español) |
| 現地の呼び方 | Castellano(カステジャーノ) |
| 方言名 | リオプラテンセ・スペイン語 |
| 英語の通用度 | 観光地だけ△。日常は基本✕ |
| 先住民語 | ケチュア語・グアラニー語など(地方で話者あり) |
つまりこういうことです。


アルゼンチンの公用語は スペイン語で正解。
一方、現地の人にスペイン語を指して「Español (エスパニョール)」と言うと、
「いや、俺らが話してるのは Castellano (カステジャーノ)だから」と軽く訂正される。
これ、「現地に行くまで絶対知らない情報」なんですよね。
Wikipediaに書いてないし、旅行ガイドにも載ってない。



なんで同じスペイン語なのに呼び方が違うの?
って思いますよね。
ちゃんと説明します。
「Español」と「Castellano」、何が違うん?
こんな感じで理解してOK。
- Español(エスパニョール)=スペインという国の言葉、という意味合いが強い
- Castellano(カステジャーノ)=スペインのカスティーリャ地方で生まれた言語、という語源的な呼び方
- 意味はほぼ同じ。でもアルゼンチン人は後者を好んで使う
なぜか。
私が現地の同僚に何度もこの話を聞いた答えをまとめるとこんな感じ。
アルゼンチンの公用語は何語?
— しずろく🇦🇷→🇯🇵 (@Shizuroku1) August 17, 2025
って聞かれたので僕もよくわからないので
アルゼンチン人10人に聞いてみました。
回答
❌ Español -0人
⭕️ Castellano – 10人
結論:癖のあるスペイン語。
「俺らのスペイン語は、スペインのスペイン語と違うんだよ。
自分たちのアイデンティティがあるの。だからCastellanoって呼ぶんだ」
出た、アルゼンチン人の反骨精神w
ちなみにこの呼び方、アルゼンチンだけじゃなくて、ウルグアイ・パラグアイ・チリあたりの南米南部でも使われます。
逆にメキシコとか中米では「Español」のほうが主流。
だから、
「アルゼンチンの言語は何語?」→ スペイン語(公式回答)
「アルゼンチン人、普段なんて呼んでる?」→ Castellano(カステジャーノ)
「つまり別言語なの?」→ いえ、方言です。ただし癖が強い方言
これが正解。
スペイン本国のスペイン語と、アルゼンチンのスペイン語は何が違う?



ここが本記事の心臓部。
スペイン語勉強してる人がアルゼンチンに行くと、ほぼ100%ここで詰みます。
実際に私がガチで困った3つのポイントを挙げます。
違い①:「きみ」が tú じゃなくて vos になる(voseo)


スペイン語の教科書、まず最初に出てくるやつ覚えてますか?
- Yo(私)
- Tú(きみ) ← アルゼンチンでは使わない
- Él / Ella(彼/彼女)
はい、Túはアルゼンチンでは基本的に使いません。
代わりに「Vos(ボス)」を使います。


しかも活用まで変わる。これがキツい。
| 意味 | スペイン本国 | アルゼンチン |
|---|---|---|
| きみは〜だ | tú eres | vos sos |
| きみは持ってる | tú tienes | vos tenés |
| きみは話す | tú hablas | vos hablás |
| きみは欲しい | tú quieres | vos querés |
…え、全部違うじゃん。



私、着任初日で詰みました。
アルゼンチン赴任の初日、オフィスで同僚にこう聞かれたんです。
¿Hola Shizuroku, tenés mate?
(ねえしずろく、マテ茶持ってる?)
…?



(tenés…? tienesの言い間違い…?主語どこ…?え、誰が持ってるの??)
めっちゃ笑顔で「yes!」って答えて、その後5秒くらい完全に固まりました。w
日本で覚えた tú tienes しか頭にないと、tenés って言われても別言語にしか聞こえない。
ちなみにこれはアルゼンチン独自ではなく、voseo(ボセオ)という中南米の一部で使われる文法。
ただしアルゼンチンの場合、voseoが完全に標準です。テレビでも新聞でも公文書でもvos。
なので、
日本でtú時制バッチリにして来ても、初日で役に立ちません。
(逆に言えば、voseo 覚えれば一気にアルゼンチン感出ます)
『voseo対応の教材ってあるの?』って思った方、実はある。旅の指さし会話帳のアルゼンチン版は、なんとsheísmo表記まで載ってる唯一の市販書籍。
違い②:発音が全然違う。「ショ メ シャーモ」問題





これも初見で絶対ビビります。
スペイン語の入門、「私の名前は〜です」ってフレーズ、これですよね。
Yo me llamo Shizuroku.
(ヨ・メ・ジャモ・しずろく)
で、アルゼンチンに行くとこう聞こえます。
「ショ メ シャーモ しずろく」



え、なにそれ新言語?
これが Yeísmo(ジェイスモ)+ Sheísmo(シェイスモ) という発音現象。
「y」と「ll」の音が、スペイン本国だと「ジャ・ジュ・ジョ」寄りなんですが、アルゼンチンでは「シャ・シュ・ショ」や「ジャ・ジュ・ジョ」の強めの音に変化する。
| 単語 | 意味 | スペイン本国 | アルゼンチン |
|---|---|---|---|
| Yo | 私 | ヨ | ショ |
| Calle | 通り | カジェ | カシェ |
| Llave | 鍵 | ジャベ | シャベ |
| Pollo | 鶏肉 | ポジョ | ポショ |
| Playa | ビーチ | プラヤ | プラシャ |
初めて聞くとマジで別言語です。
私は最初の1ヶ月、「ショ」と連呼される度に脳内でフリーズしてました。
慣れると逆にこの「ショ」がくせになって、日本帰国後も油断すると出てきて周囲に引かれます。
違い③:イタリア語みたいな抑揚



最後の違いがこれ。
アルゼンチン人のしゃべり方、聞いたことある人は分かると思うんですが、
なぜか歌っている。
語尾が上がったり下がったりアップダウンが激しくて、「質問じゃないのに語尾が上がる」。これは19〜20世紀のイタリア移民の影響。
アルゼンチンには人口の数割がイタリア系という背景があって、移民文化がゴリゴリにスペイン語に混ざってるんですね。


その結果、スペイン語なのにイタリア語に聞こえるという独特の現象が起きる。
現地で暮らしてると、ジェスチャーも超デカいし、手も口ほどに物を言うし、めちゃくちゃラテンなんですがどこかイタリア、という不思議な空気になります。



正直、これは慣れると陽気で超楽しいです。
【本当にあった話】スペイン語の壁に3回ぶつかる
ここ、AIが書ける話じゃないので実体験を書きます。
事件①:スーパーでトマトが買えない
赴任1週間目、近所のスーパー「Coto」。
トマトの山の横に札が貼ってある。「$1200/kg」とだけ書いてある。
(当時ね。今はインフレでもっと高い)
自分で取って袋に入れようとしたら、おばちゃんが物凄い勢いで近づいてきて早口で何か言ってくる。
Che, ¿ya la pesaste? ¡Dale, acá pesás primero, pibe!



(Che…? pesaste…? pibe…?
何一つ分からん…)
意味としては「あんた、もう重さ量ったの?量ってから取りに来な兄ちゃん!」。


ここにはアルゼンチン特有の単語が3つも入ってます。
- Che:呼びかけ(英語のHey, man)
- pesaste:量ったの?(voseoの過去形)
- pibe:兄ちゃん/若い男(ルンファルド)
DELE B1の教材には、これ一個も出てきませんでした。
事件②:Uberに乗ったら運転手と一生会話が噛み合わない
タクシーもUberも、ドライバーがめちゃくちゃ話しかけてきます。これアルゼンチン文化。
で、話しかけられるのは良いんですが、全部vosの時制かつ早口かつルンファルドのスラング混じり。


「¿Vos de dónde sos? ¿Cuánto hace que estás acá? ¿Te gusta? ¿Laburás o estudiás?」
だいたいこんな感じ。これ全部voseo。
最後のlaburásとか、完全にルンファルドで「働く」の意味(本国なら trabajás)。



最初の半年は「Sí…Sí…」って言ってやり過ごしてましたw
ちなみにルンファルド(Lunfardo)はアルゼンチンの下町スラングで、これ知らないと日常会話の3割くらい失うくらい重要。別記事にまとめてます。


事件③:スペインに旅行に行って「訛り」扱いされる
アルゼンチンに2年住んで、「スペイン語ペラペラ」のつもりで本国スペイン(マドリード)に旅行に行ったんです。
レストランで「Vos tenés…」って注文したら、店員さんがクスッと笑って
¡Eres argentino!
(あんたアルゼンチン人ね!)


即バレ。「Vos」を使った瞬間に、もうアルゼンチン人。
これ、面白かったですね。アクセントというより「語彙レベルで違う言語になってる」ってことです。
\本格的にDELE B2を目指したい人。この1冊でOK/
アルゼンチンで英語は通じる?【結論:ほぼ通じない】





もう一つよく聞かれる質問。
「アルゼンチンで英語って伝わるの?」
これも実体験ベースでお答えします。
観光地の若者なら△、それ以外は✕。
ブエノスアイレス中心部のホテル・レストランでも、半分くらいの店で英語通じないと思っておくのが吉。
シーン別に正直に書きます。


| シーン | 英語の通じやすさ | 備考 |
|---|---|---|
| 高級ホテル | ◯ | ほぼ問題なし |
| 観光地(イグアス・ペリトモレノなど) | ◯ | ツアー系スタッフは話せる |
| ブエノス中心部のカフェ・レストラン | △ | 若手なら可、50代以上はほぼ✕ |
| スーパーマーケット | ✕ | マジで通じない |
| タクシー・Uber | ✕ | 通じないし、話が長い |
| 病院・役所 | ✕ | 通訳必須 |
| 郊外・地方都市 | ✕ | スペイン語一択 |
スペイン・ヨーロッパのスペイン語圏と比べても、アルゼンチンは英語の通じなさが頭ひとつ抜けてる印象。
理由はいくつかあるけど、一番大きいのは「スペイン語圏の中で一番南にある大国」というロケーション。
北米から遠いし、英語圏の影響が中米ほど強くない。文化的にもヨーロッパ(特にイタリア)志向で、英語は二の次。



スーパーで冷凍ピザ買うのにも、スペイン語必須です。マジで。
旅行・駐在前に最低限これだけは押さえろ単語&フレーズ



実用編。
本国スペイン語と違う、「アルゼンチンでしか使わない」けど絶対遭遇する単語を厳選しました。
| 意味 | 本国スペイン | アルゼンチン |
|---|---|---|
| きみ | tú | vos |
| OK/了解 | vale | dale |
| バス | autobús | bondi / colectivo |
| 車 | coche | auto |
| パソコン | ordenador | computadora |
| ジュース | zumo | jugo |
| 携帯 | móvil | celular |
| 働く | trabajar | laburar(ルンファルド) |
| 仕事 | trabajo | laburo |
| お金 | dinero | guita(くだけた表現) |
| ねぇ/おい | oye | che |
特に「Dale」と「Che」は1日10回使います。これだけで現地感が爆上がり。
アルゼンチンスペイン語を徹底的に学びたい人にお勧めする辞書3つ
![]() ![]() 小学館 西和中辞典〔第2版〕 | ![]() ![]() 現代スペイン語辞典 | ![]() ![]() スペイン語ミニ辞典: 西和+和西 | |
|---|---|---|---|
| オススメ度 | |||
| 収録語数 | 80,000語 | 46,000語 | 15,400語 |
| ページ数 | 2,178ページ | 1,527ページ | 665ページ |
| 重量 | 重い | 中級 | 軽い |
| 特徴 | 芸術、IT、などの 分野まで網羅。 中南米西語に強い | 語数・用例・説明 を大幅に増やして 全面改訂。 | ハンディで学 習と旅行に便利な辞典。 |
| 税込み価格 | ¥7,260 | ¥4,400 | ¥3,080 |
「¡Dale, vamos!」(よし、行こう!)は万能。
「Che, ¿me pasás la sal?」(ねえ、塩取ってくれる?)もよく使う。



この2つ使えるだけで、スペインから来た観光客より「馴染んでる感」出ます。
もっとスラング知りたい方はこちら。 アルゼンチン人と距離が縮まるスラング100個まとめてます。


おまけ:スペイン語以外の「アルゼンチンの言語」



ここまで「スペイン語」の話ばっかりしてきましたが、
アルゼンチンには他にも話されてる言語があります。


先住民の言語(ケチュア語・グアラニー語・マプチェ語)
アルゼンチンは広い。日本の7.5倍の国土があって、北から南まで気候も文化も全然違う。
- ケチュア語:北西部(ボリビア国境付近)。インカ帝国の末裔。
- グアラニー語:北東部(パラグアイ国境付近)。
- マプチェ語:パタゴニア地方。先住民マプチェ族の言語。
地名にも残ってて、Calafate(カラファテ)もIguazú(イグアス)も先住民語由来です。日常会話としてはほぼ見かけませんが、国のルーツとして大事。
イタリア語・ドイツ語・ウェールズ語(移民コミュニティ)
これ面白いんですが、パタゴニア地方にはウェールズ系の街があって、ウェールズ語が今でも話されてます。
また北部にはドイツ系、全域にイタリア系コミュニティがあって、家の中では母語が飛び交ってたりする。
アルゼンチンって、移民国家として見るとアメリカ合衆国の南米版みたいな側面がある国なんですよね。



だからこそスペイン語もこんなに独特に進化したんだと思います。
じゃあ、日本からアルゼンチン行くなら何をどう勉強すべき?



私が5年間の経験でたどり着いた、現実解を書きます。
- ①基礎スペイン語(本国版でOK)をA2〜B1レベルまで日本でやる
- ②その上で、現地入り直前にvoseo・yeísmoの違いをYouTubeで聞いて耳を慣らす
- ③現地入り後は、ルンファルドと固有表現を実地で学ぶ(これは現地に行かないと無理)
①②③の順番がポイント。
最初からアルゼンチン特化すると本国スペイン語の基礎が歪む。土台はスタンダードなスペイン語にして、現地色は後乗せするのがコスパいいです。
私が実際に使った教材と、スペイン語ゼロから1年でDELE B1に受かった勉強法はこっち。


アルゼンチンのスペイン語。よくある質問(FAQ)



残りはQ&Aでまとめて一気に行きます。
- スペイン本国のスペイン語を勉強していればアルゼンチンでも通じますか?
-
通じるけど、相手の話す内容の理解には苦労。文法(vos)と発音(sh音)が違うので、聞き取りに慣れが必要です。逆に自分が話す分にはtúのままでもok!。
- アルゼンチンに行く前に何を勉強すべきですか?
-
まずはスタンダードなスペイン語をA2〜B1まで。そのあとYouTube等でvoseo・yeísmoの音に慣れること。現地に着いてからはルンファルド(下町スラング)を吸収すると生活が一気に楽になります。
まとめ:アルゼンチンの言語は「スペイン語だけど、スペイン語じゃない」





長くなったので最後にまとめます。
- アルゼンチンの公用語はスペイン語、でも現地ではCastellanoと呼ぶ
- 本国スペイン語との違いはvoseo・yeísmo・イタリア系イントネーションの3点
- 英語は観光地以外ほぼ通じない。最低限のスペイン語は必須
- 事前勉強はスタンダードなスペイン語→現地色は後乗せが最効率
- 先住民語・移民言語もあり、国全体が言語の移民博物館
ぶっちゃけ、アルゼンチン5年住んで一番思うのは「言葉を知ると、アルゼンチンは3倍楽しくなる」ってこと。
観光で来るだけなら英語+Google翻訳でなんとかなる。
でも、この国の本当に面白い部分(人との距離感、ジョーク、食文化の薀蓄、タンゴの歌詞)は、全部Castellanoの中にある。
スペイン語じゃなくて、「アルゼンチンのスペイン語」を学ぶ価値がある。というのが、駐在4年を終えた一人の日本人の結論です。



参考になれば嬉しいです!
良いアルゼンチンライフを!
他にもアルゼンチン駐在・旅行で役立つ記事を書いています。


















